貿易事務の将来性とは?今後なくなる仕事といわれる理由も解説

新卒や転職で貿易事務への就職を考えている人も多くいると思います。

そもそも貿易事務という職種に将来性はあるのでしょうか?

就職を考える中でこの様な疑問が浮かんでくると思います。

就職したはいいがすぐに無くなってしまうような仕事では就く意味がありませんし、大切な時間が無駄になってしまうのは避けたいでしょう。

初めての就職や転職で誰もが失敗したくないはずですし、後悔したくないと思うのは当然です。

本記事では貿易事務の将来性について今現在、貿易事務として働いている筆者が自身の経験を交えて解説していきます。

貿易事務への就職を考えている人に少しでも役に立てる事が出来ればと思います。

目次

貿易事務は今後なくなる仕事?

なぜ貿易事務が今後なくなる仕事と言われるのか?

その大きな理由を一つ挙げるとするならば、それはAI技術の発達によるものです。

AI技術の発達によって貿易事務の仕事、主に書類作成において大部分に影響が出てきます。

じゃあAIによって何が変わるのか。

影響が出てくると思われる主に二つの点について説明していきます。

船積書類の作成が不要に

船積書類の作成をする必要が無くなり、結果として貿易事務が必要無くなるという点です。

貿易事務の仕事の一つとして船積書類の作成があります。

これは貿易事務としての仕事の大部分を占めるものであり、非常に重要な仕事です。

BLやインボイス、パッキングリストといった船積書類や、税関へ輸出入申告をするための通関申告書類の作成は人の手で行われています。

人の手で作成を行なっているため作成に時間が掛かりますし、書類上の間違い等が起きることもしばしば出てきます。

もしこれらをAI技術の発達により人の手を介することなく行う事が出来たらどうなるでしょうか?

当然疲れる事なく無限に作成し続ける事が出来ますし、作成に追われて間違いが起きる事もありません。

正確に且つスピーディに書類作成を行う事が出来るのであれば、人の手は必要無くなってしまいます。

新聞やニュースなどでAI技術の発達により人の仕事がどんどん奪われてくという未来が危惧されていますが、正に貿易事務にも同じ事が懸念されるのです。

じむ美
どの分野や業界もAIによって変わっていくわね

通関がいずれ不要に

通関という仕事においてもいずれ必要なくなる可能性があるという点です。

一つ目の理由の中でも触れましたが、税関への輸出入申告を通関士が行うという大事な仕事があります。

通関書類の作成はインボイスやパッキングリストといった船積書類を元に作成していきます。この書類作成は通関士により税番と呼ばれるHSコードの拾い出し、関税率の計算、そしてNACCSと呼ばれるシステムへの入力など全て人の手によって行われています。

これらを各案件ひとつひとつに対して行なっていくのですが、毎日数十件捌いていくのには多くの時間を要します。

書類の内容によっては一件で約半日時間を要するものも存在します。

しかし、AI技術の発達によりこれらの行為を瞬時に終わらせる事が出来る可能性があります。

例えば書類を丸ごとスキャンにかけたら瞬時に内容を読み取り、HSコードを拾い出し、関税率を計算し、税関申告書類として作成される。このようなシステムが出来てしまったら完全に人の手は要らなくなり、通関士の存在も危ぶまれる事になります。

そして、誰にでも出来るものになってしまうと通関業者という仕事はもう必要無くなってしまうでしょう。

このように目覚ましい進歩を続けているAI技術が、貿易事務がなくなる理由として挙げられるのも納得出来てしまいます。

貿易事務の将来性とは?

しかし、実際のところ貿易事務の今後はどうなっていくのか?今から貿易事務として就職したいと思っている人に向けて、貿易事務の将来性についてお話ししていきます。

まず結論から申し上げますがAIにより貿易事務の仕事が無くなる事はありません。

貿易事務の仕事における船積書類の作成や通関書類の作成は多岐に渡っているため、これらをAIで全て賄うのは到底無理だと言わざるを得ません。

筆者自身も今現在、貿易事務として従事していますが、人による細かな訂正や瞬時の判断など人間による事細かな対応が非常に有効な仕事であると実感しています。

書類作成もそうですが、納品時のトラブルや各種クレーム対応など人が対応すべき問題が多く種類も異なるためAIでの対応はまだまだ難しいでしょう。

じむ子
すぐになくなる仕事じゃないわ。スキルや知識も身につくし

そして、これから益々モノの動きは活発になっていくと思います。

近年AmazonなどのECビジネスモデルケースが増えているため、輸出入の内容も多種多様になっています。

これらに細かく対応するにはAIではなく、まだまだ人の手が必要となっている職種といえます。

また、特に顧客との関係性においては人との繋がりが重視される部分です。対会社というより、担当者その人の人間性を重視する方は多くいます。

「〇〇さんだからお願いしているんだよ」と仰る顧客は本当に多いです。改めて人と人との繋がりを実感出来る仕事だと思います。

貿易事務として働くメリットとは?

貿易事務で働くメリット

それでは貿易事務として働くメリットとは何なのか?貿易事務として働いている筆者自身の経験を元に考えられる四つのメリットについて解説していきます。

通関士資格の取得

まずメリットの一つ目は通関士資格の取得が挙げられます。国家資格である通関士資格の試験は難解な試験です。

しかし貿易事務(通関業務)に従事している事で、科目免除にて試験を受ける事が可能です。

通常、通関士試験は大きく三科目「通関業法」「関税法等」「通関実務」に分かれます。五年間従事する事でまず「通関実務」が免除になり、十五年間従事する事で「関税法等」「通関実務」が免除になるのです。

もちろん従事していなくても試験を受ける事は可能ですが、従事する事で資格取得のハードルが幾分か下がるというのは大きなメリットだと思います。

調整力が身につく

二つ目は調整力が身につくが挙げられます。

この調整力というのは貿易事務に従事するにあたりとても必要な能力です。

筆者自身も貿易事務として総合物流会社に勤めていますが、各所との調整をいかに出来るかで顧客の希望に応えられるかどうかが変わってきます。

顧客、税関、船会社、配送会社などそれら全ての間に立ち、最終的に顧客の希望する納期に向かって立ち回る力が必ず身に付いてきます。

モノの原価やモノの作られる仕組みを知れる

三つ目はモノの原価やモノが作られる仕組みを知れる事が挙げられます。

筆者自身、貿易事務として顧客からの書類に目を通す事が多いですが、インボイスに記載されているモノの原価を見て驚く事が何度もありました。

守秘義務があるため具体的な金額は話せませんが、「この商品がこの価格で仕入れられているのか」と思わず見入ってしまう事もあります。

また、例えばアパレル製品を作るのに日本から海外に生地を送り、海外で縫製されて戻ってくる。このような流れを組むことで、減税措置となり原価を抑えることが出来る。

などモノの作られる仕組みもよく分かります。そして、こういったモノに対する知識を深めることが出来るのです。

じむ子
業界の裏側が知れるのはおもしろい

やり遂げる楽しさ

四つ目は顧客のニーズに応えて案件をやり遂げた時に味わえる充足感が、やはり楽しさだと思います。

案件ひとつひとつ順番にこなして、顧客の希望通りの納期に収めることが出来た、予定していた船に積載することが出来たといった時に感じられます。

スピードとその場の対応力が問われる仕事であるため、先ほどの調整力を発揮し最後までやり遂げ顧客から感謝の言葉を頂くと嬉しいものです。

自身の力でモノを動かしているという自身にもなりますし、貿易事務の知識を深める事も出来ます。決して大袈裟ではなく、自身の成長に繋がっていくと実感出来る楽しさがあります。

まとめ

貿易事務の仕事はAIが発達してもすぐになくなるようなことはないです。

人の手が必ず必要な仕事だからです。

貿易事務として働くことで得られる多くのメリットもあります。

  • 通関士資格の取得
  • 調整力が身につく
  • モノの原価やモノの作られる仕組みを知れる
  • やり遂げる楽しさ

知識が身につくだけじゃなく、やりとげる楽しさなども感じられます。

それが筆者が今まで貿易事務として働き続けている理由です。

もし興味がわいたのなら、ぜひ未経験でもチャレンジしてほしいです。

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